途中で断乳をやめてもいいもの?
赤ちゃんの成長に伴い、多くのママが一度は考える「断乳」。
保育園への入園や職場復帰、夜間の授乳が負担になってきたことなど、さまざまな理由から「そろそろ卒乳(断乳)しようかな」と思い立つ方も多いでしょう。
しかし、いざ断乳を始めてみると、赤ちゃんが激しく泣いてしまったり、体調を崩したり、自分自身も胸が張って痛かったりと、思っていた以上にハードな日々に悩むことも。
そんな中、「やっぱり無理かも」と感じて、断乳を途中でやめたくなるケースも少なくありません。
今回は、断乳を途中でやめることの是非、再開する際のポイント、そして赤ちゃんとママが無理せず向き合うためのヒントを紹介します。
断乳は一度始めたらやめてはいけないの?
結論から言うと、断乳を途中でやめても問題ありません。
よく「一度始めたら最後までやりきらないと赤ちゃんが混乱する」と聞くことがありますが、それは必ずしも正しくありません。
赤ちゃんの性格や成長スピード、家庭環境などは一人ひとり違います。
たとえ断乳に挑戦してうまくいかなかったとしても、それは失敗ではなく、「今はそのタイミングではなかった」というだけのこと。
赤ちゃんとママにとってより心地よい関係を築くための柔軟な判断が大切です。
途中でやめるのはなぜいけないと思われがち?
断乳を途中でやめることに抵抗を感じる方が多い理由には、以下のような背景があります。
【「一貫性が大事」という思い込み】
赤ちゃんの教育やしつけには一貫性が大切だという意識が根強くあります。
たしかに一定のルールを守ることは大切ですが、赤ちゃんの発達段階や心の状態に応じて柔軟に対応することも、同じくらい大切です。
【周囲のアドバイスへのプレッシャー】
母親世代の「3日泣かせたら断乳できる」といった経験談や、SNSで見る他のママの成功体験に影響されることもあるでしょう。
「自分も頑張らないと」と思い込んでしまうことも。
【「またやり直すのが大変そう」という不安】
一度やめたら、次回はもっと大変になるのでは…という気持ちも、途中での中断をためらわせる理由のひとつです。
でも実際には、赤ちゃんは日々成長しています。
今日できなかったことが、1ヶ月後にはあっさりできるようになっているということもよくあります。
途中でやめた場合、どんな影響がある?
途中で断乳をやめることで、赤ちゃんに大きな悪影響が出ることはほとんどありません。
むしろ、以下のようなポジティブな側面もあります。
【心の安心感を取り戻せる】
断乳が原因で赤ちゃんが強い不安を感じてしまった場合、授乳の再開は赤ちゃんにとって大きな安心材料となります。
とくに夜間、ママのぬくもりを求めて泣き続けるようなケースでは、授乳が再開されることで精神的に落ち着き、睡眠のリズムが安定することもあります。
赤ちゃんの心が安定すると、食事や遊びにも前向きに取り組めるようになり、結果として発達全体にも良い影響を与える可能性があるのです。
【母子の絆を再確認できる】
断乳をきっかけに、「授乳がこれほどまでに赤ちゃんとの大切なコミュニケーションだったのか」と、あらためて実感するママも多いです。
授乳は単なる栄養補給ではなく、赤ちゃんにとって“心の栄養”でもあるということを再確認できる貴重な機会になります。
授乳を通じて得られる肌と肌の触れ合いや、ママの声、ぬくもりは、赤ちゃんにとって大きな安心感そのものです。
こうしたスキンシップの中で築かれる信頼関係は、その後の成長にもつながっていきます。
【貴重な経験ができる】
断乳を一度やめたからといって、「失敗した」と思う必要はありません。
それはあくまで、ママと赤ちゃんの準備がまだ一致していなかったということ。親子で過ごす毎日のなかで、「そのとき」が自然と訪れることも多いのです。
ただし、母乳が溜まりすぎて乳腺炎になりやすい時期に授乳を再開する場合は、体調にも注意が必要です。
授乳再開のときに気をつけたいこと
断乳を途中でやめて授乳を再開する際には、いくつかのポイントを意識するとスムーズです。
【ママ自身の気持ちに余裕を持つ】
「仕方なく戻る」のではなく、「赤ちゃんの今の状態に合わせて、最善の方法を選んでいる」と自信を持ちましょう。
【日中は別の方法でスキンシップをとる】
授乳がなくても赤ちゃんとの愛着を深められるように、遊びや抱っこ、お昼寝の添い寝などでつながりを感じさせましょう。
【再開後は「次にやめるとき」の目安をゆるやかに考える】
月齢や生活リズムの変化に合わせて、また自然と卒乳に近づけるよう、焦らず向き合ってください。
まとめ
世の中にはさまざまな育児法やアドバイスがありますが、何よりも大切なのは、赤ちゃんとママが納得できるやり方を選ぶことです。
途中で断乳をやめるという選択は、弱さではなく、親子の関係を大切にする勇気のある判断です。
たとえ周囲から何か言われたとしても、自分と赤ちゃんの様子を一番よくわかっているのはママ自身です。
子どもが大きくなるにつれ、授乳の時間は自然と終わりを迎えます。
今しかない貴重な時間を、少しでも穏やかな気持ちで過ごせるよう、自分を責めず、柔軟に考えてみましょう。