インファントマッサージとは
インファントマッサージとは、インドで看護師をしていたアメリカ人のヴィマラ・マクルアーによって、1976年に考案・開発された親(または養育者)がわが子へするマッサージプログラムです。
これは、インドの伝統的な手の技をベースにし、リフレクソロジー・ヨガ・スウェーデンマッサージなどの手法を取り入れ、有機オイルを使った赤ちゃんへのマッサージ法で、親子の絆作りを手助けする育児法です。このマッサージは、生まれてから1歳になるまでの赤ちゃんに対応できるよう、工夫されています。
【インファントとは】
日本では耳慣れないinfant(インファント)という言葉は、「歩きはじめる前の赤ちゃん」のことで、日本で聞きなれたbaby(ベビー)は、欧米では赤ちゃんだけでなく、広範囲を指す言葉として使われています。
そこで、あえてbaby(ベビー)とせずに、infant(インファント)とし、赤ちゃんに施されるマッサージをインファントマッサージという名称にしたのです。
この世界共通の認識を共有し、I.A.I.M.をより多くの人に知ってもらうために、日本ではあえて日本語訳にせず、英語のままのインファントマッサージとして紹介しているようです。
インファントマッサージの歴史
古くからインドでは、赤ちゃんが産まれると、ママやおばあちゃんがマッサージをする風習がありました。
孤児院では、年長者が幼い子にマッサージをします。後のインファントマッサージの創始者であるヴィマラは、このマッサージが、赤ちゃんを落ち着かせると同時に愛情を伝え、非言語のコミュニケーションとしての役割を果たしている、非常に重要なものであることに気づきます。
また、孤児という恵まれない境遇の中でも、子どもたちは無邪気で落ち着きがあり、思いやりと責任を持って、生き生きと育っていく要因ではないかと考えたのです。
そして、ヴィマラはこの理念をアメリカへ持ち帰り、研究開発を重ねてインファントマッサージを生みだし、新しい育児法として提唱しました。
産業革命時の女性の労働力確保のため、19世紀ごろ欧米で流行した合理化の育児法「抱かない触れない育児法」の弊害により、アメリカでは青少年の凶悪犯罪や育児ノイローゼの問題など、さまざまな子どもの問題が多発していました。
頭を悩ませていたアメリカでは、それまでの自分たちの育児法に問題があったことを認め始め、マッサージの効果を裏づけするティファニー・フィールド博士の研究結果も手伝って、このインファントマッサージが急速に全米に広まります。
そうして世界中で認められるようになり、1981年には「国際インファントマッサージ協会」が創設されたのです。
この確かな理念やテクニックは、アメリカばかりではなく、ヨーロッパ各地に波及し、ある国では産後うつの解消や、乳幼児の虐待防止のための政府公認プログラムとして活用されるまでになっています。
インファントマッサージの1番の目的
インファントマッサージは赤ちゃんの心と体に働きかけ、たくさんの効果をもたらすものですが、1番の目的は「親と子の絆を深める」ことです。
確かなテクニックで、赤ちゃんの意思を尊重しながら、親子の絆を深めることのできる関係に、導く育児法です。そのためインストラクターは、赤ちゃんの両親または養育者にだけマッサージ法を教えます。
マッサージ自体は決して難しいものではありません。おだやかで温かなコミュニケーションをとりながら、ママ、パパと赤ちゃんがリラックスする中で習得することができるマッサージです。