子どもの医療費控除で節税に
家族みんな健康で過ごせるのが一番ですが、病気などで病院にお世話になることもあるでしょう。
その場合にかかるのが医療費ですが、医療費控除を活用すると節税になる場合もあります。
医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に受けられる控除のことです。
生計を共にしている家族は対象となるため、子どもの医療費はもちろん対象です。
子育てには何かとお金がかかります。
医療費控除を活用し、少しでも節税できたら家計も助かりますよね。
そこで今回は、子どもの医療費控除について解説いたします。
医療費控除を活用するとなぜ節税に?
まず、医療費控除を活用するとなぜ節税になるのでしょうか。
医療費控除は1年間に多くの医療費(一般的には10万円超)を支払った場合に、所得税が安くなるという所得控除の制度です。
所得税を計算する際に、課税対象となる所得から一定の額を控除することができるので、課税所得が少なくなり、その分だけ税金が安くなります。
【医療費控除の計算方法】
医療費控除額は200万円で、このようにして求めます。
医療費控除額=〔1年間の医療費の合計額〕ー〔保険金などの補てん金額〕ー10万円
保険金などの補てん金額とは、医療保険や健康保険などから支給された金額です。
乳幼児の医療助成制度(サイト内リンク:地域で違う?乳幼児の医療助成制度)を利用している場合は、自己負担金のみ〔1年間の医療費の合計額〕に含めることができます。
【どれくらい節税できる?】
仮に5万円の医療費控除を受けた場合、どれくらい節税できるのでしょうか。
・その場合、課税所得が5万円少なくなるため〔5万円×税率〕分の節税ができます。
税率は所得金額によって異なりますが、所得税率を20%とすると〔1万円(5万円×20%)〕所得税が安くなります。
さらに医療費控除は住民税にも適用されるため、一般的な住民税率が10%なので〔5000円(5万円×10%)〕安くなります。
つまりこの場合、5万円の医療費控除によって合計で15000円も節税できるということになります。
子どもの医療費控除の対象は?
医療費控除には対象となる範囲が決められています。
ただ単に治療や診療にかかった自己負担金だけ、と思っている方は多いかもしれません。
医療費控除の対象には、このような項目が含まれています。
・療養に必要な医薬品購入の対価
・医師などによる診療を受けるための送迎費
・入院の際の部屋代、食事代
・コルセットなどの医療用器具の購入代やその賃借料
・歯の治療費
・歯列矯正の治療費(子どものみ)
・治療のためのメガネ代(子どものみ)
このように、治療や診療にかかった自己負担金だけではなく、治療のための送迎費も控除の対象に含まれます。
基本的には通院などにかかった交通費のうち、控除の対象になるのは受診した子ども本人の費用だけです。
ただし小さい子どもの場合は一人で通院することができないため、同伴者が必要となりますので、同伴者の交通費も対象になります。
注意したいのが、通院のための交通費は全て対象になるわけではないということです。
バスや電車などの公共交通機関で移動した交通費に関しては対象となりますが、タクシーまたは自家用車の場合は緊急性のあるものか子どもの症状によっては対象外となることもあります。
また、大人の場合は歯列矯正やメガネ代などは医療費控除の対象外です。
ただし子どもの場合は、歯列矯正は正常な歯並びにするための治療とみなされること、メガネは未発達の視力を向上させる治療とみなされるため対象となるのが特徴です。
大人と医療費控除の対象となる項目が異なるので、病院にかかった場合はもれなく領収書やレシートを保管しておきましょう。
医療費控除の申告期限と方法
医療費控除は所得控除という制度なので、申請のために確定申告が必要です。
医療費控除を申請するために、どのような方法で行えば良いのでしょうか。
【医療費控除の申告期限】
確定申告の提出期間は翌年の2月16日から3月15日までです。
ただし医療費控除の確定申告の場合は還付申告になるため、申請したい年の翌年の1月1日から5年間という期間で行うことができます。
赤ちゃんが生まれて忙しく確定申告できなかった、という方もいるかもしれません。
期間内であれば申告できるため、過去の医療費も見直してみましょう。
【医療費控除の申告方法】
医療費控除の確定申告には、このような書類が必要です。
・確定申告の申請書類
・医療費控除の明細書
・医療費の領収書(提出不要ですが、5年間保存する必要があります)
・健康保険の医療費通知
・給与所得の源泉徴収票
まず1年間の医療費をまとめ医療費控除の明細書を作成します。
次に源泉徴収票と明細書に記載した金額をもとに確定申告書を作成、地域の税務署に提出します。
最近では税務署まで行かなくても、ネットから申告することができます。
子育てしながらだとわざわざ提出に行くのも大変なので、そちらもぜひ活用してみましょう。
まとめ
医療費控除はせっかくの制度なので、活用しないともったいないかもしれません。
医療費控除の対象は子どもと大人で異なるため、対象となる項目をあらかじめ確認しておくと安心です。
医療費がかかってしまっても、医療費控除を活用して賢く節税しましょう。