小児按摩とは
小児按摩(しょうにあんま)とは、日本のベビーマッサージの原点と言われており、発祥は江戸時代にまで遡ります。
小児按摩の施術は、中国の伝統的な小児向けの整体である「小児推拿(しょうにすいな)」を原形としており、日本独自の文化や気候の中で日本の子どもたちの体に合うように改良されたものと言われています。
当時は、小児按摩専門の治療院があり、子どもの体調が優れないときは治療を目的とし、元気なときは病気の予防を目的として一般庶民に利用されていました。
主に赤ちゃんから小学生くらいの歳の子を対象に専門医が施術をしていましたが、家庭でも親から子どもに対し、健やかな成長を願って体をさすっていたそうです。
しかし、戦後日本に入ってきた「抱かない・触れない」という育児法が普及し、育児の合理化を図るため、必要なとき以外は赤ちゃんに触れない・泣いても抱き上げないという考えが主流となっていきました。
これにより、徐々に小児按摩は廃れていったと言われています。
小児按摩とベビーマッサージの違い
直接肌に触れてマッサージをするベビーマッサージに比べ、小児按摩はマッサージオイルなどを使わずに、肌だけではなく服の上からマッサージをします。
「按摩」という言葉を聞くと、ツボを強く押したり、関節を曲げたりするイメージがありますが、小児按摩の場合は、子どものツボの位置がはっきりとしないため、ツボの周辺を優しくなでたり、さすったりします。
マッサージというよりは、治療という意味合いが強いのが小児按摩の特徴です。
また、ベビーマッサージを施すのに国家資格は必要ありませんが、小児按摩の場合は、鍼灸師・按摩マッサージ師の国家資格が必要です。
小児按摩のやり方
小児按摩は、マッサージオイルは使わず、手の平で直接皮膚または服の上からなでたりさすったりします。
按摩という言葉の通り、「揉捏法(じゅうねつほう)」という、筋肉を「もみ、こねる」手技が特徴ですが、子ども用の小児按摩には揉捏法はなく、皮膚を「なでたりさすったり」する「軽擦法(けいさつほう)」や「按撫法(あんぶほう)」が主な手技となります。
主に「経路」というツボの道に沿ってなでさすることで、体調を整え、病気を予防をします。
小児按摩は、乳幼児の死亡率が高かった江戸時代に、わが子が健康に育つようにという願いを込めて体をさすっていたと言われています。スキンシップが増えることで、赤ちゃんの情緒が安定し、親の母性本能を育成できるという点においては、ベビーマッサージと同じ効果があります。