育児中の正社員雇用のメリットデメリット
正社員として働き続けている女性でも、いざ妊娠出産のタイミングで「正社員として働き続けるか、離職するか、パートに変わるか」1度は悩むことがあるのではないでしょうか。
また、結婚出産を機に退職したけれど、もう1度正社員として働きたいと思っているママもいるかもしれません。
今回は、育児をしながら正社員で働くことのメリットやデメリットから、知っておくと役に立つ「制度」についてご紹介します。
【正社員で働くメリット】
育児中でも正社員として働く女性は多くいます。安定した収入が得られたり、仕事へのやりがいを持てたりするのが特徴です。万が一パパが働けなくなったときも、代わりに世帯主として家計を担うことができるのも大きいですね。
・安定した収入(勤務先によりますが、賞与が出る場合が多い)
・社会的信用(ローン審査や賃貸契約に有利)
・昇給や昇進昇格などのやりがい
・福利厚生(非正規雇用では対象外になるものがある)
・保育園入園申請に有利(ポイントが高い)
・将来的にキャリアアップできる
【正社員で働くデメリット】
時間に融通が利くことが多いパート勤務と比べて、正社員勤務は時間の融通が利かないことが多いようです。
収入が得られる一方で、育児・家事との両立に悩む働くママはたくさんいます。
・休日出勤や残業・時間外労働の可能性がある
・転居を伴う転勤や遠距離通勤の可能性がある
・待遇に見合わない責任を課せられることもある
正社員ママの「小1の壁」とは
育児中も正社員で働き続ける場合、気になるのが保育園の入園ですよね。
数年前、待機児童問題が社会的に取り沙汰されたことをきっかけに、多くの自治体で対策が取られてきました。その結果、待機児童数も減ってはきたのですが、一方で新たな問題となっているのが「小1の壁」です。
小1の壁とは、パパやママが就業中、小学生になった子どもの預け先がないことで、ママが働きに出られなくなることを指します。
学童保育に入所できない、入所できてきても保育園に比べて預かり時間が短い、夏休みなどの長期休暇中の預かり開始時間が遅いなどといったことから、ママが思うように働きに出られないという問題です。
それまで正社員で働けていたママも、子どもの就学に伴いパート勤務に変えたり、最悪の場合、仕事を辞める決断をしなければならないことも少なくありません。
小学生になると生活習慣や宿題などのフォローも必要になってきますから、帰宅後も育児にかける負担はさらに増えてきます。
最近では働き方改革の一環として在宅勤務やサテライトオフィスの利用などが可能な企業も増えつつあります。
正社員でこのような制度を使えるなら小1の壁も乗り越えられるかもしれませんね。
産後、正社員として仕事復帰を検討しているママは、将来的なことも考えてよく家族で話し合っておきましょう。
短時間正社員制度とは
小1の壁は、企業にとっても大きな問題です。能力もやる気もある社員が育児を理由に離職するのは企業にとっても痛手となるからです。
また、フルタイム勤務は難しいけれども、働く意欲や能力の高い社員を雇用するためにも、いろいろな対策をとる企業が増えてきています。
その中の1つ、短時間正社員制度をご紹介します。
【短時間正社員制度とは】
正社員でありながら、1週間の所定労働時間が少なく調整できる制度のことです。厚生労働省が正社員雇用促進策として推進している取組みのひとつで、制度を導入する企業が増えてきています。
特徴としては
・雇用形態は正社員(原則入社1年以上)
・時間あたりの基本給、賞与及び退職金の算定方法は同種のフルタイム正社員と同一
・職務範囲や福利厚生もフルタイム正社員と同様
・社会保険適用
などが挙げられます。
【パート勤務との違い】
パート勤務の労働契約形態は「期間の定めのある契約(有期労働契約)」となっているのに対し、短時間正社員は「期間の定めのない労働契約(無期労働契約)」に基づき雇用されます。
また、あくまでも正社員ですので退職金、昇格・昇進、福利厚生の利用などがあります。
【一時型と恒常型】
一時型とは、育児に必要な期間のみ一時的に短時間正社員として勤務するケースです。期間は企業により定められますが、本人が申し出れば「小学校卒業まで」が認められる場合もあります。
恒常型とは、初めから短時間正社員として採用され、ずっと短時間正社員として勤務するケースです。
【制度対象外と対応策】
業務の性質や業務体制によって制度導入が難しい場合は制度対象外になります。資格職や少人数の事業所で業務代行可能な人がいない場合などです。
しかし、その場合でもフレックスタイム制度や時差出勤(始業、終業時刻の繰上げ/繰下げ)などの措置をとることが努力義務として法律で指示されています。
このような制度は、働き方改革やCSR(企業の社会的責任)の取組みとして導入する企業も増えてきており、制度を導入した企業には厚生労働省から「キャリアアップ助成金」が出る場合もあります。
まとめ
育児と仕事の両立が難しいことを理由に離職したり、パート勤務や契約社員へ変更しようと考えているならば、まずは自社の就業規則や国の育児支援制度をよく調べてみましょう。せっかく正社員として働くことができるのであれば、育児と両立できる方法を模索してみてくださいね。