子どもに多い「溶連菌感染症」とは
子どもの泣き声がかれていたら、ママはまず風邪を疑いますが、風邪ではない場合もあります。
声がかれるのは、細菌やウイルスに感染し喉が炎症を起こしたからです。喉の炎症を起こす細菌の中には、「溶連菌」というものがあり、まれに重篤化してしまうこともあるため注意が必要です。
0~1歳までの赤ちゃんがかかることはほとんどありませんが、1歳を過ぎて大きくなるにつれ、出会うことがあるかもしれない病気です。
赤ちゃんがこれから成長する過程で、溶連菌について知っておくと、子どもの病気をケアする手助けになるでしょう。この記事では、溶連菌とは何か、症状やホームケアのポイントなどについてご紹介していきます。
子どもが溶連菌感染症になると
溶連菌や溶連菌感染症の症状とは、どんなものでしょうか。
【溶連菌とは】
「溶連菌」と略して一般的にいわれていますが、正式名称は「溶血性連鎖球菌」といいます。溶連菌感染症は、子どもに多い病気です。
初期症状が風邪に似ているため間違えやすいですが、溶連菌感染症は合併症を引き起こす可能性もあるので注意が必要な細菌感染症です。溶連菌が引き起こす主な感染症は次のようなもので、感染で炎症を起こす場所によって病名が異なります。
・ 粘膜で感染
咽頭炎・扁桃炎・猩紅熱・中耳炎・副鼻腔炎など
・ 皮膚・軟部組織で感染
伝染性膿痂疹・蜂窩織炎・丹毒など
・ その他
肺炎・菌血症・トキシックショック症候群など
【溶連菌感染症の症状】
子どもが喉の痛みを訴えたときは、喉以外にも症状が現れていないか調べましょう。3歳以下では、溶連菌感染症の症状がはっきり出ないこともよくあるので、迷うときは小児科を診察するのがおすすめです。
溶連菌感染症は、感染してから2~5日後に下記のような症状がみられます。
・ 喉が痛む(咽頭発赤)
・ 発熱(38~39℃)・・・乳幼児は熱が上がらないことが多い
・ 声がかれる
・ 小さく紅い発疹ができる・・・その後皮がむける
・ 舌にイチゴのようなツブツブができる(イチゴ舌)
・ 頭痛・腹痛がある
・ 首筋のリンパ節の腫れ
初期症状は確かに風邪に似ていますが風邪と違う特徴は、咳や鼻水が出るという症状があまりみられないことです。溶連菌感染症の症状がいくつか見受けられ、子どもが溶連菌感染症にかかった疑いがあれば、医療機関へ診療に連れて行きましょう。
【溶連菌感染症の検査・治療法】
病院の診察で感染症の疑いがあれば、検査キットで細菌検査をします。溶連菌の感染を調べる検査は、喉についた細菌を綿棒でとるだけの簡単な検査なのですぐに済みます。迅速診断キットの検査の場合、10分程度で結果が出ます。
検査結果で溶連菌感染症と診断されると、病院から熱や喉の痛みの症状を緩和するお薬とともに抗菌薬(抗生剤)が処方されます。抗菌薬(抗生剤)は、溶連菌を退治する重要なお薬なので、医師の指示通りに服用しなければなりません。
溶連菌感染症でママができるホームケア
赤ちゃんが溶連菌感染症になったとき、ママができるホームケアを紹介します。
【処方薬】
薬を飲むと2~3日で熱も下がり、喉の痛みも和らぎますが、子どもの症状が軽くなり目に見えて良くなっても、ママの判断で抗菌薬(抗生剤)の服用をやめてはいけません。溶連菌を根絶やしにしないと、リウマチ熱という合併症を発症する可能性があるため、溶連菌をすべて退治できるように医師の処方通り忘れずに飲ませましょう。
また、抗菌薬(抗生剤)を飲んで24~48時間までは人にうつるので、家で安静にします。
【飲食】
離乳食が始まっている場合、もし嫌がってあまり食べない場合は喉が痛い可能性があるので、すっぱいものなど喉を刺激するものは控え、ゼリーやヨーグルトなど消化が良く喉ごしが良いものを与えます。
通常と同じように食べられるようであれば、変える必要はありませんのでそのままあげ続けるようにしましょう。母乳やミルクも、一回に飲める量が減ることがあります。少ない場合は回数を増やしてこまめに与えましょう。
【入浴】
熱が下がるまではお風呂に入れないようにしましょう。シャワーは浴びても問題ありません。
パパやママも感染する可能性がある
子どもが溶連菌感染症にかかったら、家族みんなに感染が拡がらないようにします。大人も溶連菌感染症にかかる可能性があり、しかも大人が発症すると子どもより重い症状になりやすく大変つらいです。
パパやママが感染症の子どもの看病をするときは、細菌がついた手で口や鼻に触れて接触感染を起こさないようによく手を洗うようにします。
溶連菌感染症の症状に咳や鼻水はほとんどありませんが、溶連菌感染症にかかった子どもが咳やくしゃみをして唾液が飛んだり、手づかみで食べた手であちこち触ったりするため、二次感染することがあります。
家族で同じ食卓を囲む場合、子どもの唾液による飛沫感染や接触感染をすることがないように気をつけましょう。
子どもが溶連菌に感染したら
日本小児学会によると、以前行われていた溶連菌後の尿検査は現在不要とされています。不要な検査で病院を訪れ、赤ちゃんが別の病気に罹患するリスクが下がるのも嬉しいですね。
決められた量の期間の抗生剤を内服するのが大切なので、自分の判断で薬をやめず、しっかり飲み切りましょう。