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赤ちゃんも耳掃除は必要?
赤ちゃんのお世話にはいろいろありますが、中でも爪切りや耳掃除などの身の回りの衛生面のお世話は赤ちゃんが小さいと緊張しますよね。
耳掃除は大人であれば日常的に掃除する習慣がありますが、赤ちゃんの場合はどう対処するのが正解なのでしょうか?
無理に取ると危険という声もあれば、放っておくとよくないという意見もあり、戸惑う方も少なくありません。
今回は、赤ちゃんの耳垢に関する正しい知識と家庭でできるケア方法、そして注意すべきポイントについて紹介していきます。
耳垢って何?赤ちゃんにも必要な存在?
耳垢は、耳の中の「外耳道(がいじどう)」と呼ばれる部分で分泌される皮脂や古い角質、ホコリなどが混ざり合ってできたものです。
医学的には「耳垢(じこう)」とも呼ばれ、単なる汚れではなく、耳を守る大切な働きを持っています。
【耳垢の役割】
耳垢には以下のような働きがあります。
・異物の侵入を防ぐバリア機能
耳の中にホコリや虫、細菌などが入るのを防ぎます。
・皮膚の保湿
耳の中が乾燥しすぎないように調整してくれます。
つまり、耳垢は「不要なもの」ではなく、むしろ耳の健康にとっては欠かせない存在です。
そして、自浄作用を持っており、耳垢は自然と外に出てくるため、無理に掃除しなくてもいい場合が多いです。
赤ちゃんの耳垢の特徴は?
赤ちゃんの耳垢は、大人と比べて少量であることが多く、色や形状にも個人差があります。
【赤ちゃんの耳垢のタイプ】
耳垢には「乾性(かんせい)」と「湿性(しっせい)」の2種類があります。
日本人の場合、およそ7〜8割が乾性耳垢とされ、赤ちゃんにも同じ傾向が見られます。
乾性耳垢:カサカサとした粉状。色は淡い黄色〜茶色。
湿性耳垢:ねっとりしていて、色は濃い茶色〜黒っぽいことも。
いずれも正常な耳垢であり、特に心配する必要はありません。
耳掃除は必要?しないとどうなる?
「耳垢は自然に出てくる」とはいえ、目に見えるところに溜まってくると気になりますよね。
では、赤ちゃんの耳掃除は本当に必要なのでしょうか?
【基本的には「何もしない」でOK】
耳垢は、会話や食事などの日常的な顎の動きによって、徐々に外へ押し出されるようになっているため、基本的には「何もしない」で大丈夫です。
ただし、次のような場合には耳掃除が必要になることもあります。
・耳の入り口付近に明らかに見える耳垢がある
・耳の中から耳垢がはみ出している
・耳鼻科で「耳垢栓塞(じこうせんそく)」と診断されたとき
耳垢栓塞とは、耳垢が詰まりすぎて耳の中をふさいでしまう状態のことを言います。
聞こえにくさや違和感の原因になります。
赤ちゃんが頻繁に耳を触る、耳をかく、機嫌が悪いといった様子があれば、耳鼻科で診てもらうと安心です。
家庭でできる耳垢ケアのポイント
赤ちゃんの耳垢が気になるときに、家庭でできるケア方法をご紹介します。
【綿棒は「入り口だけ」に】
赤ちゃん用の細い綿棒を使う場合は、耳の穴の入り口部分のみに使用します。
奥まで入れてしまうと、かえって耳垢を押し込んでしまったり、鼓膜を傷つけたりする危険性があります。
入浴後など、耳垢が柔らかくなっているときがベストです。
赤ちゃんの急な動きに備えて、片手で赤ちゃんの頭をしっかり固定してからケアしましょう。
無理に取ろうとせず、「見えるところだけ、軽く」が基本です。
【湿ったガーゼで外側を優しく拭う】
綿棒を使わず、湿ったガーゼで外側を拭うだけでも十分です。
耳掃除でやってはいけないこと
赤ちゃんの耳はとてもデリケートです。以下のような行為は避けましょう。
・耳の奥まで綿棒や爪楊枝を入れる
・乾いた耳垢を無理やり引っ張る
・赤ちゃんが動いている最中に掃除する
・市販の耳掃除用器具(耳かきカメラなど)を使う
耳の奥は鼓膜に近く、少しの刺激でも傷ついてしまうことがあります。
特に最近は便利な耳かき道具もありますが、赤ちゃんの小さい耳の掃除には向いていないものもあります。
耳の奥が気になる場合には、無理せず耳鼻科の診察を受けましょう。
いつ耳鼻科を受診すべき?
次のような症状が見られる場合は、耳鼻科を受診しましょう。
・赤ちゃんが頻繁に耳を触る・かく
・耳だれが出ている(膿や血が混じることも)
・聞こえにくそうにしている
・発熱や機嫌の悪さが続く
特に中耳炎などが隠れているケースでは、放っておくと悪化してしまいます。
月齢が低いほど重症化しやすいため、早めの受診が大切です。
まとめ
赤ちゃんの耳垢は、体の自然な機能のひとつであり、基本的には無理に掃除する必要はありません。
目で見える範囲にあるものを、綿棒や湿ったガーゼで優しくケアする程度で十分です。
不安な場合や、耳に関する異変があった場合は、迷わず耳鼻科を受診しましょう。
赤ちゃんの耳も、肌や爪と同じように「やさしく」「慎重に」向き合うことが大切です。
正しい知識を持ち、安全なケアで、赤ちゃんの健やかな成長をサポートしていきましょう。