緊急性の高い発疹
赤ちゃんの様子をよく見て、以下の症状に当てはまる場合は特に注意が必要です。その他にも緊急ではないけれど、高熱を伴う発疹や痛みを伴う発疹は、早めに受診するようにしましょう。
【アナフィラキシーによる発疹】
アナフィラキシーはアレルギー反応の一種です。
原因となる食べ物や薬などを摂取して、数分から数時間以内におこるアレルギー症状です。
皮膚の発赤やじんましんなどの皮膚症状に加えて、呼吸苦や声のかすれ、腹痛・嘔吐、意識が遠のくなどの症状があれば、すぐに病院を受診するか救急車を呼びましょう。
【粘膜出血を伴う紫斑】
紫斑とは、皮膚にできる紫色のプツプツした発疹です。
圧迫しても消えない紫斑がみられる場合は、血管性紫斑病や特発性血小板減少性紫斑病、急性白血病などの可能性もあります。
また、全身状態が悪く紫斑とともに口の中が出血している、血尿がある、血便がある場合は、緊急の治療が必要です。
ただ、赤ちゃんが激しく泣きすぎた場合も顔面だけに紫斑のような出血班ができることがあります。これは問題がありません。
感染性の発疹
感染性の発疹の場合は、外出を控え、家の中でも家族への感染に注意しましょう。
【麻疹(はしか)】
風邪に似た症状が出て、いったん熱が下がり、再び高熱が出ると全身に発疹、口の中に白い斑点が現れ、4~5日高熱が続きます。
原因は、麻疹ウイルス感染です。発症すると治療法はありませんので、麻疹ワクチンを早めに接種しましょう。
解熱剤などで熱を下げ、消化の良いミルクや離乳食を与え、水分補給を十分行います。感染力が強いので解熱後3日間経過するまでは、外出してはいけません。
【風疹(3日はしか)】
発熱と同時に赤く小さな発疹が全身に出て、耳の後ろのリンパ節がはれます。
風疹は年少では軽症、年長になるほど重症になります。熱は全く出なかったり、3日間高熱が続いたりします。原因は、風疹ウイルスの感染で起こり、流行は数年サイクルです。
発症すると治療方法はありませんので、風疹ワクチンを早めに接種しましょう。
頭痛・関節痛・発熱があるときは、熱さましや痛み止めを、かゆみが強いときはかゆみ止めを処方してもらいます。熱がなくても発疹が消えるまでは、外出しないようにします。食事など生活はいつも通りで大丈夫です。
【水痘(みずぼうそう)】
急に38~39℃の熱が出て、赤い小豆大の水疱が全身にまばらに現れ、やがて膿疱になり、2~3日で膿疱は乾いてかさぶたになり、5~7日ほどで治ります。
原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染です。自然に治りますが、抗ウイルス薬を飲むと早く治癒します。
予防接種がありますので、水痘ワクチンを2回接種しましょう。
発疹がかゆいので、爪を短くするか、手袋を被せ、赤ちゃんが引っ掻かないようにします。
何でも食べられますが、口の中に発疹ができると痛いのでしみるものは避けましょう。
その他の発疹
発疹の症状が表れる疾患は他にもあります。
【手足口病】
初夏から初冬にかけて発症しやすい急性ウイルス感染症で、口の中の舌や喉周囲、手のひら、足の裏、指の腹にも水疱性ができます。
人によっては腕やひざやお尻にできることもあります。微熱や38℃前後の熱を出すこともあるようです。
腸内ウイルス感染で症状が出て、治った後でも長期間(約1ヶ月)ウイルスが便と共に排せつされるので、2次感染しないよう徹底して手洗いします。たいていの場合、7~10日程度で自然に治まります。
【突発性発疹】
急に高熱が出て、昼夜を通して3~4日ほど続き、熱が下がるとほぼ同時に、全身に発疹が現れます。
咳や鼻水は出ませんが、嘔吐や下痢、熱性けいれんを起こすことがあります。
突発性発疹の原因は、HHV-6・HHV-7の2つのウイルスで、母体からの免疫が切れる頃に発症します。
熱が脳に影響を与えることはありませんが、機嫌が悪ければ、解熱剤を処方してもらいましょう。
ひきつけを起こす、水分をあまりとらずに元気がない場合は、早めに受診します。 まれではありますが、脳炎や脳症を起こすことがありますので、ぐったりとして視線が合わない、けいれんを何度も起こす場合は、必ず受診をしてください。