母乳育児のためには栄養バランスが大切
妊娠中はつわりのために十分な栄養をとることができなかったママも多いでしょう。
「お腹の赤ちゃんのためにも、しっかり栄養をとりなさい」という周囲の声は、時にはプレッシャーに感じることもあったかもしれませんね。
そして出産後は「良い母乳のためにしっかり栄養をとりなさい」と言われることも多く、さらにプレッシャーを感じてしまうことがあるかもしれません。
確かに、ママの栄養バランスはとても大切です。なぜなら母乳育児の場合は「ママが摂取する食べ物=赤ちゃんの栄養」となるからです。
母乳には、赤ちゃんに必要な栄養素や免疫物質が含まれています。 質・量ともに良い母乳を作るために積極的にとりたい食べ物や控えたい食べ物を整理してみましょう。
授乳中にとりたい栄養素と食べ物
まず、授乳時期に積極的に摂取したい栄養素と具体的な食べ物をみてみましょう。
【カルシウム】
赤ちゃんとママの骨や歯を丈夫にするために必要な栄養素です。
産後、女性ホルモンの分泌が減ると骨密度が低下しやすくなります。ママのためにも積極的に摂取したいですね。
主に、オクラ、小松菜やひじきなどの海藻類、小魚に多く含まれています。 牛乳やチーズなどからも手軽にとることができます。
【ビタミンD】
カルシウムの吸収を助ける働きをしてくれるのがビタミンDです。 著しく不足すると「くる病」(※)の原因になることもあります。
シラス、鮭、マグロの赤身、また、サバやツナの水煮にも含まれています。 缶詰を利用すれば手軽で時短になるので、忙しいママは助かりますね。
ビタミンDは、適度に日差しを浴びることにより体内で作ることもできます。 紫外線に注意しながら、赤ちゃんと一緒に15分程度の日光浴を習慣付けるのも良いでしょう。
※くる病:骨が石灰化せず、柔らかく弱い状態になる病気。乳歯が生えるのが遅かったり、身長が伸びないなどの症状もあります。 乳幼児期のカルシウム、リン、ビタミンDの不足が大きな原因と考えられています。
【鉄分】
血液作りには欠かせない栄養素です。 母乳を作るために消費されてしまうため、授乳中は貧血気味になるママも多いかもしれません。
鉄分はあさり、ひじき、赤身の肉・魚、納豆、レバーなどに多く含まれていますが、調理に鉄鍋を利用することでも少量ですが摂取することができます。
また、ビタミンCや動物性たんぱく質を一緒にとると効率よく摂取できます。 牛肉とほうれん草の炒め物やアサリの酒蒸しなど、手軽に作れるメニューがおすすめです。
【葉酸】
葉酸も血液を作るのに必要な栄養素です。 妊娠中にも積極的な摂取がすすめられていますが、授乳期間も引き続き摂取するようにしましょう。
アスパラガスやモロヘイヤ、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれており、他のビタミン類や亜鉛と一緒にとると効果的です。
【亜鉛】
免疫力を高めたり、皮膚や粘膜の働きを維持するのに必要な栄養素です。
また、葉酸を効率よく体内に取り込む働きもあります。
初乳には豊富に含まれているのですが、3週間ほどで母乳内の含有量は急激に減ってしまいます。 亜鉛が不足すると「亜鉛欠乏症」(※)を発症する恐れがあります。
肉類や魚介類に多く含まれているので、バランスよく食べるようにしましょう。牡蠣や豚レバー、牛肉などには特に多く含まれています。
※亜鉛欠乏症:皮膚炎、脱毛、発育不全などを起こす可能性があり、また、脳や精神の発達にも影響があるといわれています。
授乳中に控えたい食べ物
では、授乳中に控えたい食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。以下を参考に、食生活を見直してみてみましょう。
【タバコやアルコール類】
授乳期間中は禁酒禁煙が原則です。 母乳を通してニコチンなどの有害物質が赤ちゃんの体内に入ることになります。ノンアルコール飲料などを上手に利用しましょう。
【カフェイン】
コーヒーや紅茶、緑茶にも多く含まれているカフェイン。 1日に2~3杯くらいなら問題はありませんが、過剰に摂取すると、赤ちゃんが興奮状態になったり寝つきが悪くなったりします。 ノンカフェインドリンクやデカフェに替えてみましょう。
【刺激の多い食べ物】
スパイスやトウガラシの効いた刺激的な食べ物も授乳中は控えましょう。 母乳の味が変わることはありませんが、食べ過ぎは好ましくありません。
【冷たいもの】
普段の飲み物や食べ物は、冷えたものより常温または温かいものがおすすめです。
まとめ
産後の体型を気にしてダイエットを考えるママもいますが、母乳育児中は食事の量を極端に減らしたり特定のものばかり食べるダイエットは避けましょう。
栄養バランスを意識して、3食きちんと食事をとることが基本です。 ママの母乳が赤ちゃんの元気の源になることを忘れないようにしてくださいね。