育児ストレスと栄養不足の関係
不慣れな赤ちゃんとの生活は、精神的にも肉体的にもストレスを感じますよね。
夜間の頻回授乳や夜泣きで眠れない日が続いたり、家事や育児に追われて運動不足だったり、食事も満足にとれなかったりすることもあるでしょう。
実はこれらの様々なストレスや疲れは、栄養の偏りが原因になっているかもしれません。
そこで今回は、育児ストレスとママの栄養バランスについて解説します。
どんな栄養素を摂取することが大切なのか、食事をとる際の参考にしてくださいね。
育児ストレス対策には「ビタミンB群」
最もストレスと関係しているのが「ビタミンB群」。
ビタミンB群は、主にエネルギー代謝を高めてくれる作用があることから、疲労回復やストレスによる心と体の不調から守ってくれる役割があるんです。
特に積極的に摂取したいのが以下の3つ。
◎ビタミンB1(豚肉や玄米など)…育児疲れによる集中力の低下やむくみ解消に効果的。
◎ビタミンB2(卵、レバー、あさりなど)…育児ストレスから来る肌荒れに効果的。
◎ビタミンB6(マグロ、カツオなど)…育児ストレスによる免疫力低下に効果あり。精神安定作用も。
心の健康の源とも言えるドーパミンやセロトニン、メラトニンといった脳の神経伝達物質の合成に関わっている栄養素ですから、不足するとイライラや睡眠障害、無気力状態などを引き起こすこともあるのです。
これらの症状が原因で、さらなる育児ストレスを感じることも…。
心と体の健康のためには、毎日の食事にビタミンB群を多く含む食材を積極的に取り入れるようにしましょう。
【ビタミンB群を摂取する際のポイント】
ビタミンB群は水溶性ビタミンと言って、水に溶けやすい性質があるため、茹でる・煮るなどの調理法では成分が失われてしまうことがあります。
野菜の場合、下茹でをすることがありますが、その際は下茹でした際に使ったお湯も一緒に摂取できるよう、スープなどにするといいでしょう。
また、「蒸す」といった調理法なら、大事な栄養素が水に溶け出てしまう心配がないのでおすすめです。
育児ストレスを防ぐ「ビタミンC、E」
育児ストレスにも負けない体を作るなら「ビタミンC」や「ビタミンE」も欠かせません。
ビタミンCやEには、「コルチゾール」というホルモンの生成と深い関わりがあるからです。
コルチゾールとは、別名「ストレスホルモン」と呼ばれていて、極度のストレスを感じると脳からの刺激を受けて分泌が増えると言われています。
コルチゾールが慢性的に多く分泌され続けてしまうと、生活習慣病やうつ病などを引き起こすこともあるのです。
このコルチゾールの分泌量を調整するのが「ビタミンC」や「ビタミンE」。
これらの栄養素には、抗酸化作用もあり、美容に良いだけでなくストレスによる心と体の回復に一役買ってくれるというわけなんです。
◎ビタミンCを多く含む食品…ブロッコリー、さやえんどう、いちご、キウイフルーツなど
◎ビタミンEを多く含む食品…ゴマ、アーモンド、アボカド、かぼちゃなど
ビタミンCやEを含む食品は、割とよく口にするものが多いでしょうから、摂取しやすいのが特徴ですね。
【ビタミンC、Eを摂取する際のポイント】
ビタミンCやEは、野菜や果物に多く含まれています。
育児で忙しく、ママの食事をお弁当やお惣菜で済ませてしまうこともあると思いますが、そんなときもサラダを一品追加して食べたり、野菜ジュースなどを飲んだりして摂取してみましょう。
ビタミンEを多く含む食品にはナッツ類も多いので、おやつとして食べてもいいかもしれませんね。
イライラ抑制に「トリプトファン」
育児中のイライラ抑制に効果的な栄養素は「トリプトファン」です。
実は私たちがイライラしたりストレスを感じたりするのは、「セロトニン」というホルモンの分泌が不足しているから。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれていて、精神の興奮状態を抑えてくれる役割があるんです。
このセロトニンの分泌に欠かせないのがアミノ酸系である「トリプトファン」。トリプトファンは、夜になると「メラトニン」という睡眠を促す物質に変化するため、安眠促進効果もあるんです。
夜泣きや育児の不安で眠れない…というママこそ、短時間で良質な睡眠をとるために「トリプトファン」が欠かせないですね。
◎トリプトファンを多く含む食品…大豆類、乳製品、ゴマ、ピーナッツなど
【トリプトファンを摂取する際のポイント】
トリプトファンを効率よく摂取するには、ビタミンB6と一緒に食べるのがおすすめです。また、炭水化物と一緒に摂取すると、より体内に吸収されやすくなります。
育児不安を和らげる「鉄」
産後のママをはじめ、女性は特に気を付けたいのが鉄不足。
鉄欠乏があるとイライラしたり不安を感じたり、疲れやすかったりします。
「セロトニン」や「ドーパミン」といった不安やうつ症状を緩和する働きのある脳内神経伝達物質を作る過程において、鉄は必要不可欠な栄養素だからです。
◎鉄を多く含む食品…赤身肉、赤身魚、貝類、ほうれん草、小松菜など
【鉄を摂取する際のポイント】
鉄には、肉や魚など動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と野菜や豆類など植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。
体内への吸収率は、ヘム鉄の方が高いのが特徴ですが、ビタミンCと一緒に摂取することで非ヘム鉄の吸収率も上がるので、食後のデザートにイチゴやオレンジなどビタミンCが豊富な果物を食べるといいでしょう。
また、コーヒーや紅茶などに含まれる”タンニン”は、鉄の吸収率を下げる作用があるため、飲みすぎないよう適量を守摂取量を控えるなど注意してくださいね。
まとめ
子育て中はストレスと切っても切れない関係ですよね。
どんなに頑張っていてもイライラすることはあります。
そのストレスと上手く付き合うには、今回ご紹介したような栄養を摂取することを心がけ、バランスのよい食事をとることが大切です。
食事をつくるのが難しい場合は、お惣菜やサプリメントなどを活用しても良いでしょう。
加えて食事だけでなく、十分な睡眠と適度な運動をし、ママが笑顔でいられるよう心と体の健康を保つようにしてくださいね。