出産育児一時金とは
妊娠、出産は通常の病気と違い健康保険が適用されません。しかし分娩や入院には思いのほかお金がかかるものです。そんな時こそ公的支援をうまく活用しましょう。その中でも、健康保険から支払われる出産育児一時金は、給付額も大きく頼りになる制度です。
出産育児一時金とは、健康保険等に基づく保険給付金の一種です。出産にかかる経済的負担を軽減するため、健康保険に加入している人ならば一定の金額が給付される制度です。
一般的に、出産・分娩に掛かる費用は約45万円といわれていますが、この費用をサポートしてくれるのが出産育児一時金といえます。厚生労働省では平成23年以降、この出産育児一時金を42万円と定めています(在胎週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度加算対象出産ではない場合は40万4千円)。
多胎児の場合は「子供の数×42万円」になりますので、双子の場合は84万円給付されます。また妊娠85日(4ヶ月)以後の早産、流産、死産、人工妊娠中絶の場合にも給付対象となります。
出産育児一時金の給付申請方法
妊婦本人が健康保険に加入していること、もしくは、健康保険に加入している方の配偶者または扶養家族であることが給付の条件です。つまり、妊婦本人が会社に勤めている場合は加入している健康保険組合から、ご主人の扶養に入っている場合はご主人の加入している健康保険組合から、国民健康保険であれば各自治体から給付されます。給付申請もそれぞれの機関に申請します。
また、加入している健康保険組合によっては独自の付加給付制度を持っている場合もありますので問い合わせてみましょう。ただし妊娠に伴い退職した場合など、離職後6ヶ月を過ぎると付加給付がもらえない場合がありますので注意が必要です。
【直接支払制度】
妊婦本人に代わり病院など医療機関が出産育児一時金の請求と受取りを行なう制度です。こちらも平成23年以降正式に制度化されました。医療機関に直接42万円支払われるため、その額を超えた分だけ自己負担として窓口で支払います(費用が42万円未満だった場合は、必要書類を提出すると後日差額振込みとなります)。
退院時に高額の費用を準備しなくて済むので妊婦本人や家族の負担が軽くなります。ただし、直接支払制度を導入するかどうかは各医療機関の選択となりますので事前に確認が必要です。
【受取代理制度】
妊婦本人が健康保険組合などに出産育児一時金の請求を行いますが、病院などの医療機関に給付金の受取りを委任することにより、医療機関へ直接出産育児一時金が支払われる制度です。
直接支払制度を導入するには事務的な負担が大きい、または資金繰りに影響がある医療機関などで採用されています。
【直接請求】
従来通りの方法で、退院時に妊婦本人または家族が全額支払い(立て替え)、健康保険組合に請求手続きすることにより後日給付を受けるという方法です。
医療機関が直接支払制度や受取代理制度を導入していない、もしくはクレジットカードで支払ってポイントを貯めたい、などの理由で選択されることがあります。