赤ちゃんの便秘と下剤
赤ちゃんの便秘の判断は難しいですが、日頃の排便回数やうんちの状態をよく知っておくと判断しやすくなります。いつもより排便回数が少ない、便がコロコロで固く血がついている、機嫌が悪い、食欲がない、嘔吐するなどのときは、便秘の可能性があります。
厚労省の調査では、0~6歳児までの1%が便秘の治療を行っています。(※) 赤ちゃんの便秘が慢性化して治療が必要になる前に対処してあげたいですね。
ここでは、赤ちゃんの便秘に下剤を使って良いか、慢性化する前に改善した方が良い理由、便秘に隠れた病気などまでをご紹介します。
※厚生労働省平成27年度乳幼児栄養調査結果概要よりhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/list/83-1c.html
赤ちゃんが便秘のときの対処
赤ちゃんが便秘になった時はすぐに下剤を使うよりも、まず生活習慣を改善することがおすすめです。
規則正しい生活をし、離乳食にヨーグルトを食べさせたりします。
離乳食前の赤ちゃんなら、母乳を飲ませたり、白湯や麦茶などを少しずつ飲ませ、水分をしっかり補給します。プルーン・リンゴ・柑橘類などの果汁を3倍に薄めて10~20ml飲ませるのも良い方法です。
また、マッサージやエクササイズも試してみましょう。
【赤ちゃんの便秘に綿棒浣腸】
水分補給や離乳食の改善、マッサージや運動も便秘に効果がなく、出ない日が2~3日から5日以上続くようなら、綿棒浣腸を試してみましょう。
綿棒浣腸は、ベビーオイルやワセリンなどをつけて滑りやすくした綿棒を肛門からやさしく1cmほど入れ、小さくクルクル回しながら肛門をやさしく刺激し排便を促します。赤ちゃんの肛門を傷つけないように1日3回までにしておきます。
赤ちゃんの便秘で下剤を使う場合とは?
赤ちゃんの便秘は、肛門近くの直腸に便が溜まることが多いです。1~2ヶ月以上便が直腸に溜まり続けると、直腸が便で膨らみ緩んで伸び、脳に便を出す信号が伝わりにくくなり、便秘がさらに悪化するという悪循環に陥ります。このように、便秘が慢性的に続くと直腸が変化して、さらに便秘の慢性化を招くのです。
もし、ホームケアや綿棒浣腸でも改善しない時は、便秘が慢性化する前に下剤を使って出すことも検討します。
【赤ちゃん用の下剤】
赤ちゃんの下剤には主に、腸を刺激するものと便を柔らかくして出すものの2種類あります。
便秘が慢性化する悪循環を防ぐために赤ちゃんに下剤を使う場合、大人用の下剤ではなく乳児用の下剤を使いましょう。
・糖類下剤(浸透圧性下剤)
乳児用の下剤は、糖類の浸透圧性下剤が習慣化しにくくおすすめです。これらは、水分をしっかりとって、便が固くならないように同じ量を毎日飲ませるとうんちの出が良くなります。体に吸収されない糖で作られる糖類下剤は甘くて飲みやすいですが、作用が緩やかで効果が赤ちゃんにより違い安定しません。
マルツエキス(麦芽糖)・オリゴ糖・ラクツロースなどがあります。
【医師の指示の元赤ちゃんに使う下剤】
ホームケアや糖類下剤で効果がない場合は、病院を受診して医師の処方薬を使うことになるでしょう。医師の処方通りに赤ちゃんに飲ませるようにします。
・酸化マグネシウム(カマ・カマグ)
子どもの保険適用外ですが、赤ちゃんの便秘には刺激の少ない酸化マグネシウムがよく使われます。便秘解消に安全性が高く効果があるからです。酸化マグネシウムは、浸透圧を利用して、固くなった便に水分を含ませ、柔らかくして出す浸透圧性下剤です。
・ピコスルファ―ナトリウム(ラキソベロン)
このピコスルファーナトリウムは、大腸を刺激して腸の蠕動運動を促す下剤です。刺激性下剤の中では習慣化しにくいと言われています。錠剤の他、赤ちゃんでも飲みやすい液体やドライシロップがあります。
赤ちゃんが便秘で病院に行く目安
生活習慣や食生活を見直しても便秘の改善が見られず、頑固な便秘が繰り返し続くようなら、思わぬ先天異常や病気が隠れていることがあるかもしれません。
【ヒルシュスプルング病】
ヒルシュスプルング病とは、腸の動きをコントロールする神経節細胞が生まれつき無いことで、頑固な便秘や腸閉塞を起こす難病です。
妊娠5~12週頃に、胎児の食道から肛門に向かって神経節細胞が作られていきますが、何らかの原因により途中で止まってしまい、無神経節腸管(神経節細胞がない腸)になってしまうことがあります。ヒルシュスプリング病の治療には、手術が必要です。
これは珍しい症例で、よくある病気とは言えませんが、お腹が非常に張って嘔吐がある便秘状態が1週間以上続き、ホームケアなどでも改善の兆しがない場合は、万一の可能性を考えてかかりつけ医に相談すると安心です。
まとめ
赤ちゃんが便秘になった時は、まず生活習慣や離乳食などを見直して改善に取り組み、マッサージなどのホームケアを試します。それでも赤ちゃんのうんちが出ないときは乳児用の糖類下剤を使い、効果がなければ医師に相談して下剤を処方してもらいます。
赤ちゃんの便秘が、1ヶ月以上続くことが繰り返したりして便秘が慢性化しないように、普段から改善に取り組み気をつけてあげましょう。