育児のための休暇と休業
働く女性にとって、赤ちゃんを妊娠したら気になるのが育児に伴う休暇です。
「育休」という言葉で使われていますが、どのようなシステムであるかはご存じですか?
育休は「育児休暇」と「育児休業」の2つを指す意味で使われます。
どちらも赤ちゃんの育児のために仕事を休業するという意味ではあるのですが、育児休暇と育児休業では内容が異なります。
知らずに使っていると、ママが育休を使いたい時に大きな勘違いをしたり、損をしてしまう可能性もあるため、具体的な違いをしっかり把握しておきましょう。
子育てのための「育児休業」とは
「育児休業」とは、1歳に満たない赤ちゃんを育てている親が、所属している企業に申し出ることで休みを取得できるよう、法律で定められている制度のことです。
法的な制度なので、条件を満たしている社員が育児休業を申し出ると、企業側は断ることができず、社員の育児に伴う休暇が確実に取得できます。
育児休業のほとんどは、出産をするママが取得することが多いのですが、パパももちろん取得が可能です。
核家族化が進んでいる現代、育児の負担をママが一手に負うことなく、夫婦2人で協力していけるというのは、とても心強いですよね。
しかし、男性側は法律で定められているとはいえ、仕事の内容によっては取得が難しいケースも少なくありません。
育児休業を取得した時の他社員への仕事の負担や、自身のキャリアの積み重ねなどがネックになってしまうことがあるためです。
また、育児休業取得の実績は増えてきているものの、まだまだ取得が難しい企業も存在します。
ママとパパはその辺りの認識をしっかりすり合わせ、育児休業の取得をどうするか、可能であれば企業側に仕事の内容を見直してもらったり、時短勤務にしてもらって対応するなど話し合いが必要です。
【育児休業を取得できる期間は?】
育児休業を取得できる期間は、産休終了から赤ちゃんの1歳の誕生日の前日までです。
ただし、保育園に入園できないなど、なんらかの理由がある場合は育児休業の1歳6ヶ月までの延長、それでも入園できなかった場合は、最長で2歳までは再延長が可能です。
育児休業を取得している間の収入ですが、働いていないため給料は発生しません。
その代わり、健康保険組合から支給される「出産手当金」や、ハローワークから支給される「育児休業手当金」の支給対象となり、一定の収入を得られる制度があります。
【育児休業の対象にならないケースは?】
育児休業の取得は正社員、派遣社員、パート労働者であれば1年以上の勤務実績があれば取得ができます。
ただし、
・日雇い労働者
・雇用期間が決まっていて、期間が1年に満たない
・雇用期間が決まっていて、育児休業終了後に期間が終了する
・継続雇用が1年未満
・労働日数が週2日以下
の方は育児休業の対象にならないので、注意が必要です。
【パパママ育休プラス・パパ休暇という制度って?】
育児休業の取得期間は赤ちゃんが1歳になるまでが原則ですが、次のような一定の条件を満たすことで1歳2ヶ月になるまで取得できるという制度をパパママ育休プラスと言います。
・夫婦で育児休業を取得している
・どちらかが赤ちゃんの1歳の誕生日になるまで育児休業を取得している
・パパママ育休プラス制度を使用する者が、その配偶者の育児休業取得日初日より後に育児休業を取得している
また、パパの育児休業の取得は1回までですが、赤ちゃんが生後8週になるまでに1度育児休業を取得し、生後8週に満たない時点で育児休業を終了している場合、再度取得が可能です。このケースをパパ休暇と言います。
子育てのための「育児休暇」とは
「育児休暇」とは、社員が育児のために必要な休暇の制度を、企業側が独自に設けている制度のことです。
育児休業の取得条件に満たない社員のために育児休暇を設けることで、社員が育児のために仕事を辞める必要がなくなり、再び社会復帰ができるようにするといった目的で設けられます。
企業側としてもスキルを持った社員を手放さなくて済みますし、社員も安心して子育てに専念できるというメリットがあります。
期間も、企業や社員の都合に合わせて設定できます。
他にも、育児休業を取得した社員が、2歳までに保育園が見つからなかった時の救済処置として、保育園もしくは幼稚園に入園できる3歳まで、育児休業ではなく、育児休暇取得という形で育休期間を延長する処置を取ってくれる企業もあります。
完全に育児のために休むのではなく、子どもの健診や行事等、子どものために取得せざる負えない休暇を「育児休暇」という形で取得できるようにしている企業も。
ただし、これらの育児休暇制度は、各企業が独自に設けている制度なので、育児休業のような収入の保証がないことがほとんどです。
まとめ
育児休業と育児休暇の違いは、
・法律で定められ、取得でき、収入の保証があるのが育児休業(ただし、条件を満たしている必要がある)
・育児休業を取得できない人のための救済処置として、企業が独自に設けているのが育児休暇
です。
どちらも「育休」と呼ばれ、赤ちゃんを育児するために必要な休暇という共通点はありますが、具体的な内容が大きく異なるため、しっかり覚えておきましょう。