産休取得時のマタハラとは?
産休取得時によくある「マタハラ」。
正式には「マタニティハラスメント」と言い、女性の社会進出に伴って注目されるようになりました。
働くママにとっては決して他人事ではないマタハラトラブル。
マタハラから身を守るためにはどうしたらいいのか、今回はマタハラ被害の実情や対応方法についてご紹介します。
2つに分類される「マタハラ」
厚生労働省が定義づけしているマタハラには、大きく分けて以下の2つがあります。
※参考文献:厚生労働省HP「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策」より
【状態への嫌がらせ型】
妊娠した・出産したという状態の変化に対する嫌がらせのことを指します。
たとえば、妊娠をしてつわりがひどくなり、これまで通り働けなくなったママに対し嫌味を言ったり、働けないことを責めたりすることです。
また、「体調が悪いなら辞めればいいのに」などと退職を促すような発言もマタハラの一種です。
【制度等の利用への嫌がらせ型】
産休や育休など正式な手続きを踏んで取得した制度に対して、「そんなに休んでいられていいね」など嫌味を言ったり、「こんなに忙しいのに産休を取るの?」などと制度利用を妨げるような発言をした場合のことを指します。
あまりにひどい場合だと、周りの理解が得られずにやむなく産休や育休といった制度を利用することすら断念せざるを得ないケースもあるそうです。
どんなときにマタハラ被害を受ける?
実際に厚生労働省が平成27年に調査したデータによると(※)、以下のようなときにマタハラ被害を感じたようです。
■「妊娠・出産の報告をしたとき」…45.9%
■「つわり、切迫流産などで労働力が低下したとき」…26.0%
■「育児休業の取得をしたとき」…17.3%
■「産前産後休業を取得したとき」…16.0%
■「時短勤務をしたとき」…16.0%
上記のデータからみると、やはり働く女性が「妊娠・出産をする」ということそのものが、会社に不利益を与えるような社会の風潮になっており、職場からも不当な扱いをされるケースが多いですよね。
妊娠や出産をすることで、一時的に労働力が低下してしまうのはやむを得ないことなのに、周りがそれを理解し、快くサポートする環境にないというのは悲しい現実かもしれません。
※参考文献:厚生労働省HP「妊娠等を理由とする不利益取り扱いに関する調査」より
産休取得時のマタハラから身を守るには?
女性の社会進出が当たり前となった今の時代も、マタハラ被害がゼロではないため、働くママとしては不安が募ってしまいますよね。
もし自分がマタハラ被害にあったらどうすればいいでしょうか?
また、マタハラ被害を受けないために、事前にできることはあるでしょうか?
マタハラ対策について考えてみましょう。
【普段から上司や同僚とコミュニケーションをとる】
マタハラ被害から身を守るには、普段から上司や同僚と良好な関係を築くことも大事なことですよね。
周りの人から理解を得られていれば、全員から酷い仕打ちを受けることはないでしょう。
たとえ一部の人にマタハラを受けたとしても味方をしてくれる人がいるはずです。
【迷惑をかけないよう計画的に産休を取得する】
自分たちに負担がかかるのが嫌で、産休に入る人に嫌味を言う人が多いわけですから、極力迷惑がかからないよう計画的に産休を取得し、引き継ぎ書などしっかりまとめておくようにしましょう。
誠意が伝われば、必ず相手も理解を示してくれるはずです。
とはいえ、体調が優れない場合は無理は禁物です。
やむを得ない事情で早めに産休を取得することになったときは、分かった時点で早めに上司に相談することも忘れないようにしてくださいね。
【産休取得などの制度について理解しておく】
前述したように、産休というのは労働基準法にて定められているものですから、取得することが決して悪いわけではありません。
むしろ、妊娠中のママの体を考慮したうえで必要な休暇なのです。
ですから、たとえマタハラ被害にあったとしても我慢したり泣き寝入りしたりしてはいけません。
直属の上司や同僚からマタハラを受けている場合は、会社の人事・総務課などにも相談し、産休取得について指導してもらうようにしましょう。
産休取得以外にも、妊娠中に体調不良で休んだ際にマタハラ被害を受けることがあります。
このときも「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用し、医師からの指導があった旨、会社に提出するといいですよ。
まとめ
残念ながらマタハラ被害は現在もゼロではないため、場合によっては嫌な顔をされたり嫌味を言われたりすることもあるかもしれませんね。
もちろん、産休や育休というのは当たり前に取得して良い制度ではありますが、だからと言って取得するママが無責任な言動をしてはトラブルのもとになってしまいます。
極力、周りに迷惑がかからないよう計画的に産休を取得したり引き継ぎ書を作成したりして、働くママだからこその「出産準備」を進めましょう。
そうすることで、周りの理解も得られ、マタハラ被害を受けるリスクも低くなるかもしれませんよ。