出産では医療保険が使えない!
出産する時に必要なお金が、想像以上に高くて驚いているパパやママもいるでしょう。
ご存知の方も多いでしょうが、出産は病気ではないため健康保険や医療保険は適用されません。そのため基本的には全額自己負担となります。
医療機関によっても異なりますが、一般的に普通分娩であっても40~50万円の費用がかかるため、非常に大きな出費となってしまいます。そのため、出産育児一時金や働くママの出産手当金など、出産費用をサポートしてくれる助成制度が存在するのです。
しかし、出産方法によっては健康保険や医療保険が適用されるケースもあるようです。今回は、どのような場合に、これらの保険が適用されるのか、どのように準備しておけば良いかなどについて詳しくご紹介します。
保険についての正しい知識を身につけ、安心して出産に臨みましょう。
正常分娩と異常分娩の違い
健康保険や医療保険が使えるかどうかは、以下のような分娩方法によって違ってきます。まずは、分娩にはどのような種類や違いがあるのかみてみましょう。
【正常分娩とは】
正常分娩とは、妊娠37~42週未満で陣痛が自然に始まり、母子ともに障害も合併症もなく、赤ちゃんが頭を先にして順調に膣を経て生まれることです。
分娩中に陣痛促進剤を使ったり、会陰切開をしたりしても、異常がなく経過すれば正常分娩に含まれます。
基本的に、帝王切開などの医学的介入がなく、お産が終了したことを指します。
【異常分娩とは】
異常分娩とは、ママや赤ちゃんの状態に問題があり、正常分娩にはならないことを言います。
一般的には、帝王切開などの手術による出産や吸引分娩・鉗子(かんし)分娩などの機械分娩、早産分娩・骨盤位分娩(いわゆる逆子)などのことです。
ほかにも癒着胎盤、前期破水、分娩時異常出血なども異常分娩に含まれます。
保険適用となる出産とは?
医学的な処置を必要とせず、問題なく順調に自然な流れで出産する場合、健康保険は適用されません。また、民間の医療保険のほとんども、このような順調な出産には給付金の支払いは対象外となるようです。
それでは、どんな時に健康保険や医療保険が適用されるのでしょうか。
【出産で健康保険や医療保険が適用される場合】
健康保険や医療保険が適用となるケースは、正常分娩でない異常分娩の場合です。
無痛分娩の場合でも正常分娩の範囲内であれば、健康保険や医療保険の適用外になりますので覚えておきましょう。一般的には、健康保険が適用されるような異常分娩の場合は、医療保険も給付対象となります。具体的には以下のような場合です。
主な異常分娩例
・鉗子(かんし)分娩
・吸引分娩
・帝王切開分娩
・切迫早産
・流産
異常分娩にも色々なケースがあります。
例えば妊娠中に順調だったとしても、臨月に入ってお腹の赤ちゃんが骨盤を通らないほど大きく育っていた場合などは、自然分娩ではなく異常分娩(帝王切開)になることがあります。この場合、健康保険が適用され、医療保険も給付対象になります。
異常分娩により医療保険が適用された場合、「入院給付金」や「手術給付金」が支払われますので、出産育児一時金などを超えた額をまかなうことが可能です。
高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは、公的医療保険における制度の1つで、原則3割負担の健康保険を使っても、1ヶ月の医療費の自己負担額が高額になった場合、自己負担限度額を超える分のお金を国が支給する制度です。高額療養費の自己負担限度額は、標準月額報酬や年間所得、年齢により割り出されるため、個人によって異なります。
異常分娩により、医療費の自己負担額が高額になった場合は、このような高額療養費の対象になることもありますので、世帯の標準月額報酬や年間所得を計算し、払い戻しが受けられるかどうか調べてみると良いでしょう。
事前に、自己負担額が高額になるとわかっているときは、全国健康保険協会の各都道府県支部に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受けておくと便利です。
健康保険限度額適用認定証を医療機関に提示すれば、医療機関に差額分を支払うだけで済み、一旦立て替えて支払い後に申請・請求する手間がかかりません。また、高額なお金を事前に用意する必要もないでしょう。
まとめ
妊娠〜出産には多くのお金がかかります。特に今回ご紹介したような異常分娩の場合は、高額な費用がかかりますので、医療制度を活用し、自己負担額を少しでも軽くするようにしましょう。
ただし、民間の医療保険は、異常分娩のために使用する目的で加入することはできないこともあるため、妊娠前から加入しておくのがおすすめです。
出産に限らず、妊娠悪阻(にんしんおそ)や子宮外妊娠などの場合でも医療保険を使うことができます。「備えあれば患いなし。」いざというときに使える医療保険はとても頼りになりますので、早めに比較検討しておきましょう。
このような医療保険の制度は、知っているのとそうでないのとでは大きく差が出ます。妊娠中の過ごし方や出産の注意点などは病院で教えてもらえますが、このような知識は意外と教えてもらえないものです。正しく理解し、もしもの時に忘れずに申請するようにしてくださいね。