新生児に授乳する初乳の免疫効果

新生児に授乳する初乳の免疫効果

生まれたての新生児に授乳する喜び

陣痛を乗り越えて出産し、初めて赤ちゃんと対面したときの喜びは、何にも例えられないものでしょう。
わが子を抱いて初めて授乳する時は、母になった喜びと自信を感じて、お産の疲れがあっても満たされているのではないでしょうか。

赤ちゃんに初めて授乳するママの母乳は、「初乳」と言ってとても大切なものです。初乳は大事と知っていても、実際なぜ大事なのかご存じないママもいるでしょう。

 

そこで、初乳はどんなもので、生まれたばかりのわが子にどんな効果があるのか、また初乳の授乳で赤ちゃんがぐずった時の対処法までご紹介します。

 

新生児への最初の授乳である初乳とは

出産後、決まった時期だけ分泌される乳汁のことを初乳と言いますが、分娩後すぐ与える最初の母乳のみとか、分娩後5日目まで、1週間以内など色々な解釈があり、何日間や何日までという決まった日数や期限は定まっておらず、学術的には定義があいまいです。

一般的な捉え方としては、初乳は産後10日くらいまでの母乳としているものが多いようです。

 

【初乳の色と成分】
初乳は、半透明のとろみがある黄色っぽいクリーム色をしていて、母乳(成乳)とはちょっと違います。味は、塩気が少し感じられますが、甘みやカロリーも普通の母乳ほどありません。初乳の塩分は胎便を出すのを助ける役割もあると言われています。

 

初乳には、生まれたばかりの新生児に必要な栄養と細菌やウイルスから体を守る免疫成分がたっぷりと含まれています。
母乳(成乳)にも、もちろんこれらの成分は含まれていますが、初乳の免疫成分は母乳(成乳)の約3倍も多くなっているのです。
初乳が「天然のワクチン」と言われる所以でしょう。

 

また、初乳は高濃度で高たんぱく質、栄養豊富なのに、脂肪分が少なく消化しやすいので、生まれたばかりの新生児の小さな胃と未熟な腸にぴったりです。

 

初乳は、新生児期の赤ちゃんの目覚ましい成長を支える良質なエネルギー源として、また赤ちゃんの体が、細菌やウイルスに侵されないための免疫力をつけるために大切な役割を担っています

 

新生児への授乳で初乳が与える免疫力

先ほどもご紹介しましたが、初乳には免疫成分がたっぷり含まれていて、免疫力がまだ弱い新生児が、感染症などの脅威をしっかりブロックし始める基礎を作ってくれます。

 

特に消化管の粘膜免疫力を高めるため、お腹の不調や下痢になるのを防ぎます。
初乳は2/3は白血球の細胞で作られているとも言われ、新生児が授乳することで、免疫の基礎を築くことができます

 

また、腸内で善玉菌を増加させ、腸内環境を整える効果もあります。
初乳の成分で免疫力に大きくかかわる成分は、sIgA抗体(分泌型免疫ブログリンA)です。

 

【sIgA抗体(分泌型免疫ブログリンA)】
ママのお腹の中で、羊水に包まれ守られていた胎児が、出産で外界に出てくると、たくさんの細菌やウイルスにさらされることになります。

 

外界で色々なものに触れる新生児には、脅威をブロックする免疫力が必要です。
その免疫力の内、粘膜免疫力を高めてくれる成分が、sIgA抗体(分泌型免疫ブログリンA)です。sIgA抗体は、消化管や呼吸器の免疫機構として最前線で細菌やウイルスと闘ってくれます。

 

通常の免疫グロブリンは消化酵素に大変弱いものですが、分泌型免疫ブログリンは消化酵素に強く消化されにくいため、新生児の消化管の中で免疫機能を長く持続し、細菌やウイルスを排除してくれます。

 

新生児へ初乳を授乳するときぐずったら

新生児へ初乳をできるだけ与えたいと思っても、まだ授乳初心者のママと赤ちゃんですから、赤ちゃんが上手に飲んでくれなかったり、授乳を嫌がったりして困るママもいるでしょう。

初乳を授乳したいのに、赤ちゃんぐずった時は、次のようなことを試してみてください。
母乳の出が多すぎて赤ちゃんが上手く飲み込めないようなら、搾乳して少し勢いを落としてから、赤ちゃんに授乳してみます。

また、赤ちゃんは飲む姿勢が気に入らないようであれば、赤ちゃんが気に入る姿勢になるように、色々飲む体勢を変えてみましょう。

赤ちゃんの気分が乗らない、お腹が空いていないようなら、時間を空けて再挑戦です。
それでも、赤ちゃんが直接おっぱいを飲めない場合、搾乳してから哺乳瓶やさじで与える方法もあります。

 

新生児への初乳は、たくさん飲ませなければならないわけではありません。初乳は与える量が少しでも、赤ちゃんには十分効果があります。「少しでも飲ませること」が大事ですから、ほんの少しでも良いので、焦らずにゆっくり時間をかけて、赤ちゃんに飲ませてみましょう。

 

まとめ

初乳は新生児に初めての増せる母乳であり、新生児期に必要な栄養や免疫成分がたっぷり入っているため、できるだけ飲ませてあげるようにしたいですね。

ただ、ママも赤ちゃんもまだ慣れていなくて、上手に飲ませることに苦労するかもしれません。
新生児にとても大切な初乳ですが、どうしても直接飲んでくれない時は、搾乳して「少し」与えることも試してみましょう。産後数日は病院にいますので、授乳の仕方に不安があるときは入院中にたくさん聞いておきましょう。

 

初乳は少量でも免疫力を高める効果があるため、おっぱいを飲むのがまだ上手じゃない赤ちゃんが、少しでも初乳を飲んでくれるといいですね。

この記事を書いたライター

月子
月子

親の病を機に九州へ舞い戻る一児のママライター。 おかしな方言の使い方をする子どもに笑い、癒されながら、バタバタ過ごす毎日です。 趣味は料理とベランダ菜園。育てたものはおいしく食べています! 心がほっとするような、楽しく役立つ情報をたくさんお届けしていきたいです。

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