低体重児の赤ちゃんとは
低体重児とは、2,500g未満の体重で生まれてきた赤ちゃんのこと。
さらに、1,500g未満で生まれてきた赤ちゃんは極低出生体重児、1,000g未満ですと超低出生体重児と言われます。
低体重児として生まれてくる赤ちゃんの多くは、ママが妊娠中に何らかのトラブルによって、正期産である妊娠37週よりも前に生まれてくるケースです。
しかし、中には正期産に出産を迎たけれども低体重児として生まれてくる赤ちゃんもいます。
日本では近年、その数は年々増加傾向にあります。2018年の統計によると、男の子で8.3%、女の子で10.5%、大まかですが10人に1人くらいの割合になってきています。(※1)
というのも、不妊治療を受ける人が増加したことにより、多胎児を妊娠するママが増えたことや、医療の進歩によって予定日よりも早く出産となった赤ちゃんの命も救える可能性が高くなったことなどが、背景としても挙げられます。
参考(※1):e-stat 統計で見る日本(https://www.e-stat.go.jp/) 4-25 性・年次別にみた出生時の体重(500g階級)別出生数及び百分率並びに出生時の平均体重https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450011&tstat=000001028897&cycle=7&year=20180&month=0&tclass1=000001053058&tclass2=000001053061&tclass3=000001053064&result_back=1&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3%3Acycle
低体重児と早産児や未熟児との違い
低体重児として生まれた赤ちゃんには、早産児や未熟児と呼ばれることがあります。
言葉のニュアンスは似ているようですが、意味は異なってきますので、違いを覚えておきましょう。
【早産児との違い】
低体重児が体重で分類されているのに対し、早産児は生まれてきた時期で分類されます。
したがって、正期産である妊娠37週より前に生まれてきた赤ちゃんのことを、早産児と呼びます。
通常の正期産よりも早く生まれてきているので、低体重児として生まれてきたり、生活機能が未熟なまま生まれてくることがあります。
【未熟児との違い】
未熟児は、早産などが理由で出産体重が小さく生まれてきたり、生活機能が未熟な状態で生まれてきた赤ちゃんのことを言います。
しかし、小さく生まれてきた赤ちゃんでも生活機能には問題がないことがあったり、逆に大きく生まれた赤ちゃんでも機能が未熟な状態で生まれてくることもあります。
そのため、現在は医学的には未熟児という言葉は使われておらず、低体重児や早産児という呼び方がされています。
赤ちゃんが低体重児になる原因は?
ママは出産に向けて体に気を付けて過ごしていたでしょうが、赤ちゃんは低体重児として出産を迎えてしまうこともあります。
原因には、以下のようなことが考えられます。
【早産となった】
予定日より早く生まれてしまうと、お腹の中でママからもらう栄養が不十分だったり、発育が完全ではない状態で生まれてくるため、低体重で生まれてきます。
早産の原因としては
・子宮頸管が短くなり切迫早産
・前期破水
・妊娠中毒症
・胎盤位置異常
・胎児の先天性異常
・子宮内感染症
などが挙げられますが、中には原因が分からないまま陣痛や破水が始まり、早産を迎えてしまうこともあります。
【多胎妊娠】
双子などの多胎妊娠の場合、ママの子宮が大きくなりすぎることや、羊水のバランスが取れないことなどにより、単胎妊娠よりも早産のリスクが上がり、低体重で生まれる傾向にあります。
【胎児の発育の遅れ】
正期産だったけれど、胎児がママのお腹の中で十分に発育できず、低体重で生まれてくるケースです。
胎児の発達の遅れの原因としては
・ママのつわりがひどく、母体が十分な栄養を摂取できなかった
・ママの胎盤の位置や臍帯のねじれなどにより、それらの働きが不十分だったために酸素や栄養が行き渡らず、赤ちゃんの成長に影響があった
・先天性異常
・ママの感染症
・飲酒、喫煙
・疲労、ストレス
などが挙げられます。
【妊娠前の痩せすぎ】
ママ自身が妊娠前に痩せすぎた体系だった場合、妊娠しても痩せていたころの食事のままで過ごす傾向があり、体重をキープしようとしています。
結果、妊娠中に適切に増加しなければいけない体重が増えなかったり、母体が栄養不足になってしまうことがあります。
もともと痩せていた人が妊娠中に体重を増やそうとしても、なかなか増えないということも。
できれば妊娠前から、BMIは標準値をキープしておきたいですね。
低体重児の赤ちゃんの治療について
低体重児として生まれてきた赤ちゃんは、週数や体重も見ながら、治療が必要か判断します。
低体重児として生まれてきても、中にはほとんど治療をせずに経過観察だけで大丈夫なケースもあります。
発育・発達順調化がを、定期的に医者に診てもらいながら過ごします。
しかし、低体重児だと肺や体の機能が未熟なこともありますし、皮下脂肪が少ないために体温維持が難しい、ほかにも異常が現れる場合があるため、保育器を使って経過観察や治療を行っていくこともあります。
栄養をうまく保持できないことから、低血糖を起こすこともあり、注意深い観察や対処が必要です。
赤ちゃんの成長を見守ろう
低体重児として生まれた赤ちゃんは、その分発達もゆっくり。同じ時期に生まれた赤ちゃんに追いつくまでは1年か、それ以上かかることもあります。
赤ちゃんの体重や未熟度による差もありますが、赤ちゃんは自分のペースで頑張って成長しています。
生まれた赤ちゃんが低体重児だと心配ですが、大きくなるにつれ他の赤ちゃんと大差のない成長を見せてくれるケースも多いものです。
ママは長い目で見守りながら、赤ちゃんの成長を応援していきましょう。