新生児の生理的体重減少とは?
正常に生まれた新生児の平均体重は、およそ3kgほどで、1ヶ月で約1kg増加すると言われています。赤ちゃんによって多少の個人差があるものの、すくすく成長していくわが子を見るのは、とてもうれしいものですよね。
しかし、この時期の赤ちゃんは日に日に体重が増えていくわけではなく、生後数日経った頃から減少し、出生時の体重を下回るようになるのです。これを「生理的体重減少」と言い、どの赤ちゃんにも起こる現象です。
一般的に、生後3~5日くらいに体重が200~300g減ります。ただしこれは一時的なもので、生後1週間くらいでまた出生時の体重に戻ります。その後は1日約25~30gずつ体重が増えていきますので、特に大きな問題ではありません。
しかし、初めての育児だと、赤ちゃんの体重が減ってしまうのは「病気ではないか」「母乳量が足りていないのではないか」と不安になることも多いですよね。そこで今回は、新生児の生理的体重減少の原因や気をつけたい症状についてご紹介します。
新生児の生理的体重減少の原因は?
生まれた時の赤ちゃんの体の中には、うんち(胎便)やおしっこが多く溜まっています。このうんちやおしっこなどが体の中から出ていく量が、赤ちゃんが飲む母乳やミルクの量よりも多いことにより、生理的体重減少が起きます。
しかし、生後日数が経ち、赤ちゃんの哺乳量が増え、体の中から出ていく物の量より哺乳量が上回ると、体重が増加していきますので、特に心配する必要はありません。健康な赤ちゃんに起きる正常な現象であると考えるようにしましょう。
生理的体重減少の基準値は?
新生児期に起きる生理的体重減少ですが、一体どれくらい減ってしまうのが正常範囲なのでしょうか。
基本的に、生理的体重減少による体重の「減少率」は、生まれた時の体重から算出していきます。以下にその計算方法をご紹介します。
「生理的体重減少率=(出生時の体重-現在の体重)÷出生時の体重×100」
上記の計算式により算出した結果、5~7%なら標準的な体重減少となります。通常生理的体重減少が起こる時期は入院していますので、ママが心配することはまずありません。退院時にもちゃんと確認しています。
生理的体重減少の気をつけたい症状3つ
生理的体重減少の中でも、以下のような症状が見られた場合は、一度かかりつけ医を受診すると良いでしょう。前述した「生理的体重減少率」を知ることで、赤ちゃんの健康状態を判断する目安となります。
【①生理的体重減少がない(体重減少が少ない)】
ごくまれに赤ちゃんの体重が減少しない(減少率が少ない)ことがあります。赤ちゃんがしっかり母乳を飲めている・うんちやおしっこがあまり溜まっていないという場合に起きますが、これらが原因であれば特に問題はありません。
しかし、生まれてから48時間経ってもうんちが出ていなかったり、お腹が張っていたりする場合は要注意です。入院中の医師や看護師に相談しましょう。
【②生理的体重減少率が10%以上】
今度は逆に生理的体重減少率が正常値を超えている場合です。
退院後も体重が減り続けている場合は早急にかかりつけ医を受診するようにしましょう。
大人と比べて小さな赤ちゃんが、10%以上も出生時より体重が減ってしまうということは大きな問題です。
授乳量が適正であるか、脱水症を起こしていないかなどを確認しましょう。また、ほかにも新生児黄疸や低血糖が原因でも起こり得ます。
【③体重がなかなか元に戻らない】
生理的体重減少は一時的なものですが、生後14日経過しても出生時の体重に戻らないという場合は注意が必要です。原因として考えられるのは、母乳やミルクを上手く飲めていない・足りていない可能性があります。
生理的体重減少のピークは、生後5日ほどです。これを過ぎてもなかなか体重が増えていかず、生後14日経っても出生時の体重に戻らないという場合は医師に相談してください。
低出生体重児の生理的体重減少は?
低出生体重児とは、出生時の体重が2.500g未満の赤ちゃんのことを言います。低出生体重児(いわゆる未熟児)の場合も、正常な赤ちゃんと同じように「生理的体重減少」が起きます。ただでさえ小さな赤ちゃんなのに、さらに体重が減ってしまうのは、ママとしては不安でたまりませんよね。
低出生体重児の場合は、専門の医師が慎重に体重の増減を確認し、赤ちゃんの様子と合わせて観ていますので、何か気になることがあればすぐに相談するようにしましょう。
ママは赤ちゃんの生命力を信じ、少しずつ成長していく姿を見守ってあげられるといいですね。あまり神経質になりすぎると、母乳の出が悪くなる原因となりますので、気をつけてください。
まとめ
新生児に起こる生理的体重減少は、今回ご紹介したようにごく自然に起きる現象です。出生後入院中に起こり一時的なものなので、心配しすぎることはありません。
初めての育児で慣れないことも多いと思いますが、しっかりと赤ちゃんの様子を観察し、元気に育っていけるよう見守ってあげましょう。