五感への刺激
新生児のうちから教材を使って英才教育を!などど必要以上に張り切ることは控えましょう。
この時期に大切なのは、優しく五感を刺激してあげることです。授乳の時、沐浴の時、おむつ替えの時、あやす時など、優しく話しかけたり積極的にスキンシップをとるようにしましょう。
赤ちゃんの五感は産まれる前から成長しており、外の様子を感じながらママのお腹の中で過ごしています。
視覚への刺激
視覚は五感の中でも最も重要な感覚といえます。
超音波検査により妊娠6ヶ月頃の胎児が目を開けたり閉じたりする様子を確認することができますが、胎内では視覚によって情報を得る必要がないため、胎児時代はあまり機能が発達していません。
新生児の赤ちゃんの視力は0.01ほどで、明暗の認識ができる程度です。物の色や輪郭を認識することはできません。
赤ちゃんをベッドに寝かせておくと、ぼーっと遠くを眺めているように見えることが多いですが、これは、視野が狭く、うまく焦点を合わせることができないためです。
赤ちゃんが焦点を合わせることができるのは、目から30㎝ほどの距離です。これは、パパやママが抱っこした時の距離と一致しています。
つまり、新生児の赤ちゃんでもよく抱っこしてくれる人の顔は見えているということです。抱っこの時は、赤ちゃんと目を合わせるようにしましょう。
聴覚への刺激
ほぼ胎内にいるうちに出来上がっているといわれているのが聴覚です。
妊娠5ヶ月頃にはママの血流の音や心音がわかり、ママの声に反応して手足を動かすこともあります。7ヶ月を過ぎると人の話し声や外の音、高音低音の聞き分けもできます。
新生児の赤ちゃんは、雑音よりも人の音声を好み、他人の声よりもママの声を好むことがわかっています。普段のお世話の際に積極的に声をかけてママの声をたくさん聞かせて落ち着かせてあげましょう。
その他に赤ちゃんが好きな音は、クラシックのような落ち着いた音、レジ袋をグシャグシャする音などです。反対に、激しい物音、甲高い声や低く唸るような声、怒鳴り声などには不快感や不安を抱き、体をこわばらせたり泣き出してしまうことがあります。
以前は、モーツァルト効果といって赤ちゃんにモーツァルトなどのクラシック音楽を聞かせると頭が良くなるといわれていました。
しかし2007年、ドイツ教育省によってこの考え方は否定されており、その他の国でもクラシックを聞くだけで頭が良くなるという考え方は否定されています。
嗅覚への刺激
産まれたときにすでに大人と同じくらいの感度を持っているのが嗅覚です。
赤ちゃんは視力が弱く、食べ物の腐敗など見た目で確認できないリスクから身を守るため、嗅覚が早くから発達しているといわれています。母乳やミルクを飲むためにも必要な感覚です。
においは記憶とも繋がっているといわれています。ゆったりと幸せな家族との記憶に結び付くとよいですね。
触覚への刺激
妊娠6ヶ月頃には体のほぼ全ての触覚が発達し、生後7ヶ月頃になると痛覚を感じるようになります。
新生児の赤ちゃんの場合、触覚が最も発達しているのは口です。
赤ちゃんは、自分の手や足、ママの指、手でつかんだおもちゃなど何でも口に入れようとしますが、食べようとしているわけではありません。
口に入れることで大きさ、形、触り心地などを確認し、本能的に感触と見た目を結合して認識しようとしているのです。 皮膚も、熱い、冷たい、痛いなどの基本的な感覚を持っています。
しかし、くすぐったいという感覚が備わるのは生後6ヶ月頃からです。新生児の赤ちゃんのお腹や脇をコチョコチョしても無反応か不機嫌そうな表情を浮かべるかもしれませんが心配はありません。
味覚への刺激
赤ちゃんは妊娠7ヶ月頃から、甘味と苦味がわかるようになり、その後酸味がわかるようになります。
旨味と塩味は産まれてから少しずつ発達していきます。
新生児の赤ちゃんは、苦味と酸味について大人の約2倍の感度で区別できているという研究結果があるそうです。
ただし、「苦いもの=有害なもの」「酸っぱいもの=腐敗しているもの」という自分を守るための本能的な判断によるものなので、だんだんとその感度も弱まっていき、離乳食が始まる頃には大人と同程度の感度になっています。